活動実績

【講演】(明治大学情報コミュニケーション学部)「災害復興法学のすすめ リーガル・ニーズと復興政策の軌跡」

2023年5月22日 明治大学情報コミュニケーション学部「情報コミュニケーション学」

分担講義「災禍の記憶と継承(5)」

岡本正「災害復興法学のすすめ リーガル・ニーズと復興政策の軌跡」

(講義シラバスより)

本講義は,「災禍をめぐるコミュニケーション」を中心的なテーマとしたオムニバス講義であり,学習目標は①「災禍をめぐるコミュニケーションの困難を理解する」,②「他者に近づくことの可能性を理解する」,③「多様な視点を尊重するという姿勢を獲得する」の3点となります.気候変動の影響を受けて世界的に増加傾向にある自然災害だけでなく,戦争や迫害,感染症,公害など,人類の歴史は「災禍(catastrophe)」と向き合い続けてきた歴史だともいうことができます.このような災禍はわれわれの生活を脅かし,時にはそのあり方を大きく変化させるため,人びとは様々な形のつながりを通し,その変化に対応しようとしてきました.このことは,現代社会の姿をみても理解できるところかと思います.この際,われわれは言語だけでなく,絵画,音楽,映像,舞踊やモニュメントなど,多様な形のコミュニケーションを通して,災禍と向き合い,そして災禍の経験を継承しようと試みてきました.しかし,災禍というもの自体ができれば目を向けたくない悲惨な出来事であるために,災禍の実像や,このよう
な継承の試みが十分に理解されているわけではありませんし,ともすれば支援ブームのような形で一時的な「消費」の対象となることさえあります.同時に目を向けたところで,当事者のあまりに凄絶な経験を他者が理解することはほとんど不可能であるということは,戦争研究などを通してすでに示されてきたところでもあり,こうした体験を理解できるかのようにふるまうことはそれ自体がひとつの暴力であるとさえ言われます.それでは,われわれはこのような性質をもつ「災禍をめぐるコミュニケーション」をどのように考え,実践していけばよいのか.講義では,とくに自然災害を中心的な事例としながら,その実際について外部講師の先生方から学んでいくこととなります.