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【寄稿】(アカデミア)「自治体の個人情報保護と利活用~地域における危機管理対策~」

岡本正「自治体の個人情報保護と利活用~地域における危機管理対策~」アカデミア vol.143(2022年10月1日号)32-37頁

市町村アカデミーの機関誌「アカデミア」の『市町村アカデミー講義Again』に寄稿しました。災害と個人情報を巡る自治体政策法務の要点をまとめたものです。

 

【お詫びと訂正】

記事のなかで、以下の点に言及しました。最新の知見を記入しようとしたのですが、当初弊職が要望して概ね内閣府において了承していたと思われた論点の解決法については、要望通りの結果を得ることができませんでした。このため、内閣府防災での対応は「アカデミア」の記事で記述した内容とは異なるものとなってしまいました。したがって、以下の論稿の記述については誤りであることを指摘されていただきます。謹んでお詫びのうえ、訂正した表現に変更したいと思います。

 

(アカデミア掲載記事の記述)「個人情報保護条例が廃止されることに伴い、原則として、災害時の避難行動要支援者名簿(個別避難計画を含む)の事前共有のためには、同意のほかは、自治体が独自に「条例」策定することが必要である。なお、これに関連して、改正個人情報保護法の施行によって、これまで「審議会の答申」の方式によって避難行動要支援者名簿情報の平時からの関係支援機関等との共有を実現してきた基礎自治体が、平時からの共有の正当性を失ってしまいかねないという論点がある。この点については筆者が2021年度及び2022年度の内閣府「防災分野における個人情報の取扱いに関する検討会」委員として課題を指摘し、その結果、個人情報保護委員会及び内閣府(防災担当)において対応策が検討され、既存の審議会の答申による平時共有が改正法施行後も有効に機能すると解釈する
考え方が示されることになったので、今後の動向を注視いただきたい。」

 

(内閣府の対応を踏まえた記述)「個人情報保護条例が廃止されることに伴い、原則として、災害時の避難行動要支援者名簿(個別避難計画を含む)の事前共有のためには、同意のほかは、自治体が独自に「条例」策定することが必要である。なお、これに関連して、改正個人情報保護法の施行によって、これまで「審議会の答申」の方式によって避難行動要支援者名簿情報の平時からの関係支援機関等との共有を実現してきた基礎自治体が、平時からの共有の正当性を失ってしまいかねないという論点がある。この点についての対応方針は、2022年9月2日、内閣府から「改正個人情報保護法の施行後の避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の情報提供に関する「条例に特別の定めがある場合」の取扱いについて」と題する通知(技術的助言)が発信さたところである。これによると、自治体は今後は平時からの名簿情報共有のためには、審議会の答申を得る方法では、政策を維持することができないとの見解にたっており、本稿で指摘するような個別条例の策定を実施するか、新たに策定することになる「個人情報保護法施行条例」において災害対策基本法上の手当てをすることが要請されることになった。これは、実務上決して見逃してはならない重要な論点とその対応策であるといえるため、上記通知についての対応を怠らないことが重要である。」