【コラム】三宅島噴火遺構・ジオスポットを巡る(2025年5月)
2025年5月に日本災害復興学会 復興支援委員会の企画で三宅島を訪問視察致しました。
5月16日 夜に竹芝を出港
5月17日 早朝に三宅島に到着・各地を巡りヒアリングや意見交換
5月18日 各地を巡りヒアリングや意見交換・三宅島空港を出発
ここでは上記行程のうち、主な三宅島噴火遺構・ジオスポットについて備忘メモを残します。
●椎取神社
三宅島椎取(しいとり)神社の樹叢と溶岩流。2000年7月噴火による降灰、8月以降の泥流等で鳥居が埋没。周囲の森林も立ち枯れに。現在は林が再び繁ってきている。
●三七山&ひょうたん山
昭和37年噴火で誕生したスコリア(暗黒色の穴が開いた溶岩石)の丘が「三七山」。昭和15年に噴火した噴火口「ひょうたん山」と隣り合っています。エネルギーを感じる黒い台地。美しい自然のフォルム。このスコリアの大地は、この場所をはじめ三宅島各所にあり、GLAYのMV、スズキジムニーのCM、日産とJAXAのプロモーションなど様々な映像作品で登場し「ロケーションツーリズム」にも大貢献している。
●釜方海岸
三宅島空港の海岸沿い道路。メインストリートからは横道に逸れる隠れた景勝地スポット。粘土を引きちぎったような真っ黒な奇岩に、エメラルドブルーの波が打ちつける絶景ポイント。三宅島が火山の島であることを実感できる。
●立根の仮橋
2000年7月噴火で三宅島一周道路の立根(たつね)地区の道路が崩壊。2001年に復旧工事のために仮橋を建設。役目を終えたのちも仮橋を、海岸を望む展望台モニュメントとして残した。仮橋は当時の復興復旧事業の様子を伝える貴重な遺構となる。
●新澪池跡
新澪池(しんみょういけ)の跡地。1763年噴火の火口にできた湖。七色に変化する神秘の湖だった。昭和58年噴火でマグマが流れ込み、湖は水蒸気爆発で消滅(まさかそんなエスカノールの「クルーエル・サン(無慈悲な太陽)」みたいなことが本当に起きていたなんて)。現在はすり鉢状の地形を樹木が欝蒼と覆っており、全体を見渡すのは困難。
●富賀浜
爆発角礫岩(ばくはつかくれきがん)のむき出しの地層で構成された断崖。爆発角礫岩のなかに水冷火山弾という溶岩が水中で急冷されたことによる放射状の亀裂の岩も観察できる。三宅島でしか見ることができない地層と景勝地。
●阿古集落の火山体験遊歩道
昭和58年噴火により阿古温泉郷の集落を溶岩が飲み込む。学校も市街地も民宿も溶岩に埋没。520世帯、1300人が暮らしていたが、340棟以上の家が溶岩に埋没した。一人の死者もいなかったのは奇跡的といえる。遊歩道をめぐると溶岩に埋もれた旧阿古小学校・旧阿古中学校の校舎などを見ることができる。あたり一面には今でもごつごつしたスコリアの大地が広がる。
●迷子椎(まいごじい)
三宅島の森に数多くある巨木・巨樹。そのなかでも特に有名なのが「迷子椎」(まいごじい)。太い根元幹に多数に枝分かれした太い腕。雨が上がったばかりの森で、圧倒的迫力と神々しさを放っていました。
●大路池(だいろいけ)
三宅島の貴重な水源。この地下水から島の生命線となっている。周囲は鳥獣保護区となっており、島の鳥「アカコッコ」をはじめ多数の野鳥を観察できる「バードアイランド」三宅島を象徴するスポット。