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【インタビュー】(Yahoo!ニュース特集)「ざこ寝、プライバシーなし……「避難所の劣悪な環境」なぜ変わらないのか」

Yahoo!ニュース特集(ヤフー・トピックス)「災害大国・日本」/「ざこ寝、プライバシーなし……「避難所の劣悪な環境」なぜ変わらないのか」(Yahoo!ニュース特集 2019年11月1日配信)

避難所・避難生活学会理事長の榛沢和彦医師、アウトドア防災ガイドのあんどうりす氏らとともに、「避難所の環境整備」に関してインタビューを受けました。

 

「災害救助法の活用と関係職員のレベルアップを」

では、避難所の環境は、どうやったら改善できるのか。現行法の枠内で可能なのか。災害復興に関する法制度に詳しく、岩手大学地域防災研究センター客員教授などを務める岡本正弁護士を訪ねた。事務所は東京・銀座にある。

避難所の設置は、災害救助法第4条が根拠になっているが、条文そのものは「救助の種類は、次のとおりとする」とあって、その項目の一つとして「避難所及び応急仮設住宅の供与」としか記されていない。これについて、岡本弁護士はこう指摘する。

「避難所の運用基準について、国はそのひな型を『告示』の形で公表しています。これを一般基準と言います。しかし災害時には一般基準では対応できないことも起きます。そうしたときに、実はこれが災害救助法のいいところですが、国と都道府県で協議して、より幅広い対応が可能な『特別基準』に格上げできるのです」

岡本弁護士はさらに、関係自治体の職員たちにとって「法的知識が絶対に欠かせない」と力説した。

「2016年の熊本地震以降に内閣府が各自治体に示した通知によれば、プライバシーの確保やベッド・仮設トイレの整備などについて配慮してください、となっている。避難所に関わる現場に先例に関する知識があれば、ある程度の避難所になるはずです。内閣府の通知は確実に実行できるはずの内容なので、まずはこれらに沿って的確に避難所の設置と運営を進めるべきだと思います」

「それでも抜けているところはあります。女性の生理用品や高齢者向けの介護食とか、細かい部分で目が届いていないものも多くあります。そういうときにこそ、内閣府の『避難所運営ガイドライン』などを見ればいいのです」

岡本弁護士によると、問題は、自治体の担当者らがこうした文書や規則などを事前に読み込み、十分な知識を備えているかどうかだ。岡本弁護士自身は「法律に根ざした職員のトレーニングや研修が乏しい」と感じている。

「都道府県や市町村の職員にこうした法律やその先例の知識がないと、要望できるのにしなかったり、本当は改善できるのに『こんなものだろう』で終わってしまったりする。災害救助法は、柔軟な解釈ができる法律です。だから私は『徹底活用しましょう』と呼び掛けています。法律を使いこなそう、内閣府のガイドラインをよく見よう、と。そのうえで、足りない部分については日頃から積極的に『国と協議したい』として要望をどんどん出していけばいいと考えます」

「そしてできるだけ早く、災害救助法の改正だけではなく、生活再建に関する抜本的な法制度の構築、つまり、救援から復興までを統合した法制度にする必要があります」