【コラム】平成16年7月福井豪雨 巨大な「足羽川 破堤復旧之碑」を訪問[ 2024年4月29日 ]
2004年7月18日におきた「福井豪雨」は、福井県嶺北地方を中心に陣だな被害をもたらしました。九頭竜川水系で複数の堤防が決壊し、福井市や美山町(当時)に多数の浸水被害が起きました。死者4名、行方不明者1名、浸水建物1万4000棟、全壊住家が約70棟に及びました。
福井市中心街を流れる一級河川「足羽川」(あすわがわ)でも堤防が決壊。上流では、JR越美北線の鉄橋5本が流出するほどの被害を受けています。
足羽川上流には、流出した鉄橋を、2005年にモニュメントにして設置・保存しています。2016年8月に訪問しました。
福井市内でも足羽川の堤防が広範囲(80m)にわたり破堤しました。その場所を示す立て看板があります。なお、足羽川における水害の歴史は、福井県のウェブサイトなどを参照ください。
2009年11月、足羽川の河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)により、堤防復旧工事が竣工しました。
「破堤復旧之碑」は、これを記念して、破堤箇所に近い児童公園「春日公園」(春日1丁目)の入口に設置されたものです。かなり重厚感があり、非常に大きな直方体です。高さは台座を含めると、おおむね大人の背丈ほどになります。なぜこれほど巨大な石碑としたのでしょうか。その理由は碑文を最後まで読むとわかりました。
碑文には、以下の文言が刻まれています。
破堤した原因が詳細に記述されていることと、堤防の上ではなく、あえて住宅街の児童公園内に「当時の洪水高に合わせた碑を建立」しているなど、洪水被害の脅威を語り継ぐ強い思いをうかがう知ることができます。
平成十六年(二〇〇四年)七月十八日、足羽川流域は梅雨前線により明け方から昼前にかけて激しい豪雨に見舞われ、最大時間雨量は八十七mm、六時間雨量では二百二十八・九mmを観測し、福井豪雨と命名された。
足羽川の推定最大流量は流下能力を大きく上回る毎秒約二千四百㎥とされ、十三時半頃、春日一丁目において越水による洗掘と浸透による堤体の脆弱化などにより破堤した。
当時の福井市の浸水被害は甚大で、床上浸水二千五百十四世帯、床下浸水八千六百七十三世帯に及んだ。
県では、再度、同様な災害がおきないよう 足羽川河川激甚災害対策特別緊急事業を実施した。
事業完成の節目にあたり、被災から得られた教訓を風化させることなく後世に引き継ぐことを目的に、破堤した地に当時の洪水高に合わせた碑を建立する。
平成二十一年十一月 福井県知事
【コラム】ことしで30年 平成5年8月豪雨『8.6豪雨災害之碑』を訪ねる[ 2023年11月6日 ]
平成5年に鹿児島市及びその周辺自治体で起きた「8.1豪雨」と「8.6」豪雨災害。
前者は死者23名、後者は死者・行方不明者48名という甚大な被害をもたらした。
平成12年に、鹿児島市の中心街を流れる甲突川(こうとつがわ)の西田橋の近くに災害伝承のための大きな石碑が建てられた。
横には副碑があり、以下の記述がある。
<副碑の碑文の内容>平成五年八月六日、夕方から激しく降り始めた雨は市街地において、 一日降水量二百五十九ミリ、 甲突川上流の郡山町では一日降水量三百八十四ミリ最大時間雨量九 十九ミリを観測するなど記録的な豪雨となった。 このことにより、甲突川や稲荷川などが氾濫し、約一万五千戸が浸水する一方、市内各地で、 崖崩れや土石流などが多発し、行方不明者一名を含む、 四十七名におよぶ市民の尊い生命や貴重な財産を失う未曽有の大災 害となった。 私たちは、この8・6豪雨災害を教訓に、抜本的な河川改修や橋梁の整備並びに内水排除対策など、 防災都市づくりに努力を傾注してきた。 ここに、犠牲者のご冥福を心からお祈りし、このような大災害が再び起こらないことを祈念するとともに、8・ 6豪雨災害を永く後世に伝えるため、この碑を建立する 平成十二年五月 鹿児島市
(参考資料)
気象庁 鹿児島地方気象台
https://www.jma-net.go.jp/kagoshima/dis/199308/index.html
【コラム】気象庁気象科学館を訪問[ 2023年4月17日 ]
2023年4月17日
気象庁本庁舎に併設されている「気象庁 気象科学館」を尋ねました。気象庁が今の新しい庁舎(港区虎ノ門3丁目)に移転したは2020年11月~12月にかけですが、それに先立つ2020年7月に、港区立みなと科学館と一体型の施設としてオープンしております。
よんなな防災会でもお世話になっている気象庁の竹さんにご案内いただくという贅沢な時間を過ごしました。お忙しいなか本当にありがとうございます。また、日本気象予報士会の会員気象予報士が常駐して解説してくださるため、先輩気象予報士の方にもご挨拶させていただきました。ありがとうございます。
最新の設備で防災や気象のことがとても分かりやすく、まとめられています。休日は家族連れで大賑わいになるそうです。アメダスやラジオゾンデ模型の展示など、気象予報士試験を勉強しただけでは実感のわかなかった気象関係器具の展示もあり、個人的には非常にテンションが上がりました。
今後は気象の知識と災害復興法学の知識をうまく融合させ、防災知識の普及を頑張っていきたいと思っています。
【コラム】気象予報士登録+アメダスを初訪問[ 2023年4月1日 ]
2023年3月29日付で気象予報士の登録が完了しました。
3月10日に第59回気象予報士試験に合格したことをうけ、気象庁長官へ気象予報士登録申請手続を行っていましたが、この度晴れて気象予報士名簿に登録されたことになります。現時点で1万人以上が気象予報士登録をしているとのことです。
さて、偶然ですが、3月28日に、新潟大学の気象学者である本田明治先生のご案内で「アメダス」(AMeDAS:Automated Meteorological Data Acquisition System:地域気象観測システム)を初訪問しました。「地域災害環境システム学研」に関する科研費研究の研究会と調査の一環です。
アメダス観測所には、「降水量」だけを観測する所と、「降水量」「気温」「風向・風速」「湿度」の4要素を観測する所とがあります。 さらに雪の多い地方で「積雪深」を観測するアメダスもあります。
今回訪問した金沢地方気象台の「白山河内地域気象観測所」は4要素に加えて積雪深も観測するフルスペックのアメダスです。大変よい記念になりました。
[気象業務法]
第二十四条の二十三 気象庁長官は、前条の規定による書類の提出があつたときは、その者が第二十四条の二十一各号の一に該当する場合を除き、次に掲げる事項を気象予報士名簿に登録しなければならない。