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【コラム】自主防災組織率100%の高知県安芸市の津波避難タワーを視察

「安芸市夏季大学講座」にて講演を行うため、高知県安芸市を訪れた。高知県東部、太平洋に面した小都市である。講演前に市の危機管理課の方々に「津波避難タワー」と「津波避難路」を案内いただいた。

 

安芸市の津波避難タワー

 

南海トラフ地震が起きたとき、安芸市では15分以内に津波が到達するとされている。駅前を含む市街地は5メートルの浸水が予想されており、中心市街地を含む平野部はほぼ壊滅する想定だ。津波避難タワーは、高台が少ない市街地に建設。それ以外にも高さのある建物が津波避難ビルとして指定されている。

 

 

中心市街地には安芸川の支流が流れ、東部には安芸川本流と伊尾木川が太平洋にそそぐ。津波はこれらを遡上し、川岸は大打撃を受ける。川に挟まれたエリアには、津波避難タワーも密集している。

 

 

市民会館裏側にあるタワーに登らせていただいた。鉄筋コンクリート造のものである。以前、常時開放型の高知県南国市の津波避難タワーを視察したが、安芸市では普段は施錠され、突き破るタイプの遮蔽が講じられている。中には無線機などを収納した備蓄倉庫がある。私が立ち入ったタワーでは290名を収容可能とのことだった。このほか、市内には鉄骨製のタワーもある。土地の広さの関係や規模によって工法が異なっているように思われた。

 

 

津波避難路の整備

 

安芸市の主要道路は海沿いを東西に走る国道だ。海と山の距離が近く、ほぼ海に沿ってしか道路が存在しない。一方で、それらの道路から高台への横道は、必ずしも整備されていなかった。車いすなどが通れるように、新しく舗装整備し、また高台への階段も所々で整備した。写真は、その中でも崖地を切り開いて大規模に整備されたもの。途中までは小さな軽自動車なら通行でき、さらに階段を登って崖上まで行けるようになっている。

 

 

定期的に津波避難路と津波避難タワーを利用した訓練を行っている。これらの目に見える整備は、住民の防災意識の向上に一役買っている。

 

安芸市津波避難計画

岡本正「津波避難タワーと住民防災意識の変化」(ハフィントンポスト)