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【コラム】福田徳三先生と「災害復興法学」

2011年の東日本大震災をきっかけとして、災害復興法学を提唱し、大学の講座の展開や学会発表・研究会などでの勉強を進めてきた。「災害復興法学」を2014年に著したころには勉強が不足していたが、その後、「災害復興法学の体系:リーガル・ニーズと復興政策の軌跡」や「災害復興法学Ⅱ」を書き上げる過程において、偉大な経済学者の言葉を知るに至る。災害復興研究の第一人者である山中茂樹先生や、津久井進弁護士のご著書のおかげと感謝したい。

 

東京商科大学(一橋大学)の福田徳三先生(慶應義塾大学でも教鞭をとられた)の遺した一節だ。この言葉のあとには、1923年の関東大震災からの復興を主導した帝都復興計画の後藤新平総裁への苦言・忠告ともいうべき言葉が続く。

 

福田先生は、関東大震災当時も政府の委員として活躍し、「住まい」や「仕事」を公的に支援し、生活再建をすすめていく制度を実現されている。

 

 

私は、復興事業の第一は、人間の復興でなければならぬと主張する。

人間の復興とは、大災によって破壊せられた生存の機会の復興を意味する。

今日の人間は、生存するために、生活し営業し労働せねばならぬ。

すなわち生存機会の復興は、生活、営業及び労働機会 ―これを総称して営生
の機会という― の復興を意味する……