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【寄稿】(三田評論)「災害復興法学のすすめ ──東日本大震災10年とリーガル・レジリエンス」

岡本正「災害復興法学のすすめ――東日本大震災10年とリーガル・レジリエンス」三田評論(No.1253 2021年3月号)39-44頁/「特集:3・11から10年」

慶應義塾大学の機関誌『三田評論』。明治31年に福澤諭吉先生により創刊。東日本大震災10年の節目で「レジリエントな社会」をテーマに特集が組まれ、特集関連記事の1つに寄稿させていただきました。災害復興の最前線におられる著名な方々や塾の諸先輩方が登場する特集に参画できたことを心から光栄に思います。

 

[特集3・11から10年]

あの日から10年。突然被災地になってしまった東北の各地域は、この間、「復興」に向けて歩みを続けてきました。しかし、「復興」とは一体何か。そこには一様ではない地域各々の事情があるに違いありません。東日本大震災から10年を機に災害に強い「レジリエントな」社会とはどういうものか、何が「復興」の力になるのかを考える特集です。

[座談会]震災復興から考えるレジリエントな社

菅原昭彦 気仙沼市住みよさ創造機構理事長、気仙沼商工会議所会頭

福迫昌之 東日本国際大学経済経営学部教授・同大学副学長・塾員

紙田和代 ランドブレイン株式会社取締役、慶應義塾大学理工学部非常勤講師

小檜山雅之 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授

厳 網林 慶應義塾大学環境情報学部教授(司会)

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大矢根 淳 専修大学人間科学部教授、日本災害復興学会会長・塾員

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中島みゆき 毎日新聞記者、東京大学大学院学際情報学府博士後期課程・塾員

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宮川祥子 慶應義塾大学看護医療学部准教授、一般社団法人情報支援レスキュー隊代表理事

【追 記】

上記2021年3月号の翌4月号には、3月号の寸評が掲載されています。今回の寸評の著者は、慶應義塾大学名誉教授の山崎信寿先生です。我が国の人間工学分野の権威のおひとりです。3月号の特集について、以下の記述をいただきましたので、御礼を兼ねて寸評を抜粋させていただきます。座談会や特集論稿のなかで拙稿を意識してくださった部分もあり大変光栄です。山崎信寿先生とはご面識はありませが、工学の権威の先生にこのようなご評価をいただいたことを大変嬉しく思います。なお「社会教育」の下りがでてくるのは、3月号の特集記事とは別に「福澤諭吉と社会教育」の特別論稿があることに加え、拙稿でも生涯学習教育としての防災教育(災害復興法学)について締めくくりで強調させていただいたことも影響しているかもしれません。

・・・災害の復興では、様々なレベルの合意の有無が、自助困難者の当面の危機減縮のみならず、その先の希望にも大きな影響を与えている。何度も繰り返される共助の学びを、公助に反映できないか。特集や鼎談、演説館で知った法曹関係者らの奮闘に、そのヒントを見る。災害多発の日本では、誰でも被災者になる可能性が高い。公平性の「ポジティブな逸脱」を躊躇せず、現地で必要な支援を的確迅速に届ける公助体制の構築を期待したい。コロナ禍も、見えにくいところで生命財産を脅かしている大災害と言えよう。生活や労働に関わる権利など、法に込められた理念と措置を国民に伝える「社会教育」が重要なのは今も変わらない・・・