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【コラム】阪神・淡路大震災を伝える六甲道南公園と神戸大学の鎮魂碑

神戸大学で講演・シンポジウム登壇の機会を得た。わずかな時間しかなく十分なリサーチもしていなかったが、講演前の時間を利用し、阪神・淡路大震災を伝承するモニュメントを訪れたので、備忘録として記述しておきたい。

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■六甲道南公園の巨大モニュメントが伝えるもの

 

1995年1月17日に兵庫県南部地震が発生。死者6434名、行方不明者3名という甚大な被害をもたらした。未曽有の大災害は「阪神・淡路大震災」と名付けられた。神戸大学を擁する神戸市灘区だけで1000名近い方が亡くなられている。六甲道エリアもJR駅舎が崩壊するなど地震被害は甚大であった(神戸市アーカイブ参照)。震災後は、「六甲道駅南地区 震災復興第二種市街地再開発事業」として住宅とオフィスが整備された。中央には防災公園として「六甲道南公園」が配置され、入り口に巨大なモニュメントも作られた。

 

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このモニュメントが意味するところは何か。説明看板を見つけるのにも一苦労だったが、モニュメントの正面下部に直接小さな看板が貼り付けられていた。これによれば、大地は動くものだ、という自然に対する畏怖が表現されているという。崩落した道路や大きくずれた断層を想起する巨大モニュメントである。

 

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説明を読んでから改めて道路の向こう側から見てみれば、六甲の山へ向かうカーブのデザインは美しく、希望への道筋にも思えてきた。

 

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また、公園内には、震災から10年となる2005年に設置された、「鎮魂」の石碑がある。これも予備知識がないと結構探してしまう。モニュメントを何周かしてしまったのちに、手入れされた緑の花壇に囲まれた小さなモニュメントを発見。街は再開発で新しくなっても、震災を忘れることなく伝承するという決意が記述されている。

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■神戸大学の「鎮魂」の碑が見つめる世界

 

神戸大学の本館前。良く晴れた6月の木漏れ日の下、青々と茂った草花に囲まれた「兵庫県南部地震神戸大学犠牲者慰霊碑」。阪神・淡路大震災は、留学生を含む学生39名と職員2名の命を奪ったのだ。

 

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金色で「鎮魂」の文字をかたどったデザイン。碑文にはこうある。

 

「友よ 神戸大学を そして世界を見つづけてほしい」

 

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振り返れば、この場所から神戸の街と、そして世界への玄関口である神戸港を一望することができる。毎年この場所では犠牲者追悼式が行われている。

 

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参考【コラム】阪神・淡路大震災から21年 神戸新長田の病院に見出した希望